製品保管スペースの縮小と
リードタイムの短縮を実現
アルプスウォーター株式会社
アルプスウォーター株式会社(以下アルプスウォーター)では、北アルプスの天然水から作ったピュアウォーター「アルピナウォーター」の売上が好調である。同社は、大自然に恵まれた北アルプスの湧水を原水とした安全安心なピュアウォーターを国内に安定供給する事を目標に、オールロボットで一貫生産するピュアウォーター工場を2006年に立ち上げた。
ISO2200:2005の認証取得および、リターナブルボトル業界では、日本で初めてFSSC22000を取得しており、設立当初から安全性を追求している。また、東日本大震災以降の水需要の高まりの中で順調に生産量を伸ばし、2018年には第3工場の稼働も始まった。しかし、堅調な成長の背景では、新たな課題が発生していた。
ELESTA®PixeeMo®が問題を解決
②品質確認試験の迅速化により、リードタイムを大幅に短縮。
課題と解決策
課題
- 生産量が著しく増加する中、品質確認試験判定前の製品保管場所が必要
- リードタイムを短縮したいが、品質確認試験の信頼性と精度は落とせない。
解決策
- AOAC-PTM認証を取得した最新鋭の品質確認試験法を導入。
- 国際標準法と同等の信頼性と精度を保持したまま、リードタイムを40時間以上削減。
背景 工場の体制について
アルプスウォーターの「アルピナウォーター」は、3,000m級の山々が連なる「日本の屋根」とも呼ばれる北アルプスでも指折りの水源地の湧き水を原水として、製造される。天然の湧き水を最新のRO膜でろ過し、不純物を99%カットした硬度1mg/ℓの超軟水は、赤ちゃんのミルクや薬を服用される方、またミネラルが多い水でお腹をこわしやすい方も安心して飲めるのが特徴である。どなたにも安全安心であるうえ、販売価格も12Lで1,050円(税別、レンタルサーバー代別途。2020年5月現在。)と業界最安値となっている。(アルピナウォーター公式HPより引用)
この販売価格を実現しているのが、アルプスウォーター独自の生産体制だ。
アルピナウォーターは、日本最大級を誇る大町工場で一貫生産されている。しかも極力、人の手を介さないオールロボットの最新鋭の工場である。一つの大きな工場で生産するスケールメリットで、設備費用や人件費を大幅削減している。またサービススタッフ、コールセンターおよび配送システムを、親会社トーエル株式会社が構築したLPガスを供給する既存インフラを活用している。さらにWEBや電話自動応答などのITも活用することでコストを削減し、それらの取り組みにより高品質なピュアウォーターを最適な価格で提供する事を可能にしている。
生産量の急増による課題の発生
宅配水の市場は、東日本大震災の発生による水需要の高まりによって、参入企業が増加したことで市場が急速拡大したが、参入企業間における競合もあり、厳しい市場環境をみせていた。その中で売り上げを堅調に伸ばしてきたアルプスウォーターでは、2018年に、年間1500万本生産体制を目標として大町第3工場が稼働した。しかし、生産量と売り上げが増加するに従い、品質確認試験前の製品保管場所に場所が必要になるという課題が発生した。 現在、日本の飲料水検査における標準法としては、培養法を用いられている。例えば、食品衛生法による殺菌・除菌ありのミネラルウォーターの微生物規格基準は、①一般生菌が100cfu/ml以下であること②大腸菌群陰性と定められているが、検査結果が出るまでに48時間の培養時間が必要である。 アルプスウォーターにおいても、培養法による品質確認試験の結果が得られるまで製品をおよそ2日間倉庫に保管していた。アルプスウォータ―では、リードタイムの短縮を可能とする微生物迅速検査法の検討を開始した。本検討の中で、AOAC-PTM認証を取得した最新鋭の微生物迅速検査装置「ELESTA® PixeeMo®」をヤマトマテリアル株式会社から紹介された。
導入の決め手
アルプスウォーターからの要望は「培養法と同等以上の検査精度があること」「出来るだけ短い時間で検査できること」「誰が操作しても安定した検査を行えること」だった。この3つを実現するために、AFIテクノロジーでは、AOAC-PTM認証を取得した飲料水の試験法に基づく試験プロトコルをご提案した。これにより、1日で最大20検体の品質確認試験を実現可能にした。
導入の効果
「年間1500万本の出荷体制であれば、1日あたりに生産される製品の検査にかかるコストは膨大です。製品検査を国際標準法と同等の信頼性と精度を保持したまま、即日出荷判定できることは、工場の運営に大きな前進をもたらしました。ELESTA® PixeeMo®を導入することによって、迅速に出荷できる体制を構築する事ができました。」 「ELESTA® PixeeMo®を導入後、検査時の培養条件に影響を受けることなく、製品の微生物汚染リスクを把握できるようになったのはとても重要な事です。製品の安全性も格段に高められたと考えています」
ELESTA® PixeeMo®はAFIテクノロジー独自技術「AMATAR®」によって、迅速性のみならず、カビの胞子や通常の培養では発育が遅く48時間では検出されない微生物も検出することが出来る。さらにELESTA® PixeeMo®では、培養により検出されない菌(VNC・VBNC等)を培地の種類、培養温度、培養時間を問わず検出できる。つまり、培養法だけでは検出できない菌が引き起こす製品の変敗リスクを低減することが可能となる。 会社の立上げ当初より、アルプスウォーターは、誰でも安心して飲めるピュアウォーターを最適なコストで安定供給するために尽力なされてきた。今も変わらず、消費者のために先進的な検査体制への投資を惜しまれないその姿勢が、アルピナウォーターの安全・安心に繋がっている。
「これまでは出荷前判定に2日間かかっていました。コストを抑えつつ、製造開始から出荷までの日数の短縮をはかるためには、出荷前検査の迅速化が有効だと考えていました。ただし、品質確認試験の信頼性と精度を落とすことは許されないため、その条件を満たす試験法を探すのはなかなか安易ではありませんでした。そのタイミングで紹介を受けたのがELESTA® PixeeMo®です。」 「AFIテクノロジーからの提案書には、サンプルの前処理を含めても1時間で3検体の検査ができること、および培養法と同等以上の検査精度であることが明確に記載されていました。これにより、製品の安全を保持し、出荷までのリードタイムを大幅に改善できると判断できたため、正式に導入を決定しました。」